「認知症であることを本人が自覚する」ということ。メリット・デメリット

介護
スポンサーリンク
スポンサーリンク

認知症を自覚することは良い事?

Photo by Gustavo Fring from Pexels

2019年の日経メディカルの記事では、認知症の告知について医師にアンケートしたところ、「本人と家族に告知する」と言う回答が49.6%と最も多かったそうです。

次に家族にのみ告知して「本人への告知は家族と相談して決める」というのが34.1%だったそうです。

詳しくはこちらの日経メディカルの記事をどうぞ。

本人に告知することについては諸外国でも意見が分かれている問題のようです。

私は介護福祉士として10年近く認知症を患う方と関わってきましたが、

「この人はもしかして自分が認知症を患っていることを知っていた方がいいのでは?」

と思った事がありました。

「知る事がこの人にとってプラスになるのか全くわからない」

と思うこともありました。

本人に告知するか判断に迷うご家族も多いと思います。

認知症を自覚することのメリットとデメリットを簡単に挙げてみました。

認知症の告知を受けるメリット・デメリット

簡単に、認知症を患っている事を知るメリットとデメリットを挙げてみました。

メリット

  • 本人の決定権を尊重できる
  • 治療の可能性がある
  • 認知症対応のサービスやサポートを受けやすくなる
  • 家族や周囲との関係が改善する場合がある

デメリット

  • 100%治癒する病気ではない不安と恐怖を背負う
  • 治療を拒否する場合がある
  • 家族や周囲との関係が悪化する場合がある

メリットについて

本人の決定権を尊重できる

判断力が維持出来ている間に重要な決定が出来ることは本人にとって大きなメリットだと思います。

告知は財産分与についてや、やり残したことについて、治療やケアの方向性について等色んな事を自分の意思で決断出来る機会が設けられるということです。

治療の可能性がある

本人の同意があれば出来る治療もあるかもしれません。

抗認知症薬を使用するという選択も出来ますし、「正常圧水頭症」等であれば手術で治る可能性もあります。

認知症対応のサービスやサポートを受けやすくなる

本人の同意があることで受けられるサービスやサポートがあります。

認知症カフェの利用や介護サービスを申請し利用 出来る等、本人に必要なサポートをチョイスし利用しやすくなります。

家族や周囲との関係が改善する場合がある

認知症の症状の一つである記憶の欠如から、家族との間に溝が出来るかもしれません。

また「もしかして認知症では」と本人が誰にも言えず不安な気持ちを抱え過ごしている場合、家族と問題を共有する事で絆が深まる場合もあります。

デメリットについて

100%治癒する病気ではない不安と恐怖を背負う

認知症の中で最も多い割合のアルツハイマー型認知症は根本的な治療方法は見つかっていない状態です。

そのような中での告知は不安と恐怖を背負うことになるかもしれません。

治療を拒否する場合がある

告知を受け入れることが出来ず治療を受け入れられない、利用可能なサポートを拒否するということも考えられます。

家族や周囲との関係が悪化する場合がある

告知を受け入れられる場合は悪化していた関係性が改善することがあるかもしれませんが、受け入れられない場合は悪化する可能性もあり得ます。

本人が自暴自棄になり周囲が対応に戸惑うことも考えられます。

祖父の例・最後まで認知症と知らなかった

Steve BuissinneによるPixabayからの画像

私の祖父は認知症を患っていました。

もともとかなり風変わりな人だったこともあり、何時頃発症したのか誰もわかりませんでした。

気付いた時には近所で迷子になり人の物も盗ってきちゃう感じでした。

はっきり診断を受けたわけではありませんが、いつの間にか

「じいさんはボケとる」

と言うのが親戚全員の認識でした。

(「ボケる」という表現は適切ではないかと思いますが、当時の親戚中の認識通りにあえてそのままの言葉を使っています。)

「お前はボケとるんじゃ~!!」

祖母に叱られても祖父はびくともしません。

「ボケとるか!!」

全否定します。

自分が認知症である事を全く疑っていません。

そうして好きな事をしていました。

私はそんな祖父が好きでした。

多分認知症の初期の段階で医師から告知されていたとしても、大きな不安を背負うというタイプではなかったと思います。

きっと早い段階で告知したとしても、祖父の周りに告知に反対する人はいなかったと思います。

逆にもう一人の祖父の場合、認知症はなく癌で亡くなりましたが、もし認知症を患ったとしたら祖母もその子供達も告知はしない方がいいと判断したと思います。

こちらの祖父は癌であることも告知されませんでした。

「知る権利」として癌の告知率が90%以上になっているこのご時世でも身内は「知らない権利」を選びました。

高齢だった事も告知しなかった理由の一つですが、祖父の性格上それで良かったと思っています。

キーポイントは「本人が認知症を受け入れられるかどうか」だと思います。

その方の認知症のイメージや、性格、状態を総合して判断することになるのだろうと思います。

家族が「認知症の告知」について重い決断を強いられることがあります。

重い決断の前に一人で悩まないでください。

色んな相談窓口や家族同士の集まりがあります。

思い悩んだ時は相談してみてください。

そしてどうか

「認知症になったら終わり」

と思わないでください。

公益社団法人「認知症の人と家族の会」のサイトは下記になります。

他にも様々な支援機関があります。

認知症についての他の記事はこちらをどうぞ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました